個人事業主・中小企業事業の資金調達方法14種!それぞれのメリット・デメリット解説
2022.07.19
はじめに
中小企業や個人事業者向けの資金調達方法は、銀行からの融資や消費者金融などのビジネスローン、あるいは公的機関の事業性貸付などがありますが、それだけにとどまりません。
資金調達といえば借金が日本におけるスタンダードとなっていますが、借りずに資金調達する方法も複数存在します。
こちらでは【中小・個人向け】事業資金の調達方法7種14パターンのメリット・デメリットを徹底解説していきます。
中小企業・個人の資金調達方法14選を解説
銀行からの融資
事業者に広く利用されている資金調達方法の一つが銀行融資です。
良く知られている方法とはいえ、どんな事業者でも利用できるものではなく、赤字決算続きでないこと、税金を滞納していないことなどの条件が付きます。仮に融資に成功すれば、低金利でまとまったお金を貸してもらえるメリットがあります。
融資商品にはいくつかの種類があります。
1.プロパー融資
無担保融資の一つで、保証人を付けずに銀行が直接融資を行います。
貸し倒れリスクの少ない企業や長期間付き合いのある企業など、銀行が認めている企業だけが受けられる融資と言っても良いでしょう。
特徴は金利は低く(0.9%から2%程度)、保証料が不要な点です。無保証のため審査が厳しく、返済期間が短くなります。
2.信用保証付き融資
信用保証協会などの保証付きの銀行融資です。信用保証協会の審査が必要で財務状況などが評価されます。
信用保証付き融資は、プロパー融資よりも審査に通りやすく、返済期間も長い点が特徴です。保証料がかかりますが、低金利(1%から3.5%)で借り入れができる点はメリットです。
3.不動産担保融資
保有している不動産を担保にしたローンです。資産価値の高い不動産をもっていれば、信用貸付の審査に通らなくても借り入れできる可能性が高くなります。
数千万以上の高額融資が受けられ、長期借入が叶う点はメリットです。金利も5%と比較的低く、設備投資などの事業拡大資金として有効に利用できます。仮に返済が滞った場合は不動産を売却しなければならない点、登記費用などの諸費用がかかる点や審査時間が比較的長くなる点は、デメリットといえそうです。
4.ABL
資産担保融資、あるいは売掛金担保融資と呼ばれるローン商品です。
企業が持つ商品在庫や売掛債権を担保に、融資を受けられます。担保の資産価値や利用する企業の返済能力が審査の対象となりますが、すぐに現金化できない資産を融資を受けることで現金かできる点はプラスです。
売掛債権を担保とする際は、取引先への通知と承諾が必要な点や、在庫や債権の状況を借入先に定期的に報告する義務があるなどの手間がかかる点はネックといえそうです。
消費者金融などのビジネスローン
クレジットカード会社や消費者金融などのビジネスローンで事業性資金の借り入れができます。
5.無担保ローン
事業性資金での利用が可能な無担保ローンです。
個人ローンと同様に最短即日融資が可能な点、審査時間が早い点、枠内融資なら何度も利用できる点はメリットですが、金利が高く(6%から18%程度)、利用限度額が銀行融資と比べると低くなる点がデメリットになります。最大でも1000万円程度までの融資となるため、大口融資には向きません。
6.不動産担保ローン
不動産を担保とするビジネスローン商品です。
銀行での不動産融資と比べると金利が高め(2%から15%)ですが、融資可能金額は最大で数億円規模となるため、保有している不動産次第で大口融資が叶います。また銀行の不動産融資とくらべると審査時間が早いのも特徴です。
7.公的融資制度
日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などの公的機関から融資を受け、資金調達する方法です。
銀行融資と比べても有利な金利で借り入れできる点が最大の特徴で、審査の可決率も高くなっています。担保や保証人不要で借り入れできる場合もあるので、事業開始後それほど時間がたっていない方の資金調達方法としてもメリットが大きいです。審査に際して2週間程度時間がかかる点や必要書類が多いなどのデメリットはあります。
8.ファクタリング
法人や個人事業者が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、現金化する資金調達方法です。
これまで紹介した融資とは違い、経営状況や税金の未納などは審査対象とはならず、売掛金と売掛先の信用力が問われます。
ファクタリングには一括ファクタリング、医療報酬ファクタリング、商品在庫ファクタリングといった種類があります。
一括ファクタリングとは、通常のファクタリングを指し、売掛債権に対する買取と現金化が行われます。契約は利用者とファクタリング会社で完結する2社間ファクタリングと利用者ファクタリング会社、そして取引先とで行われる3社間ファクタリングがあり、それぞれ条件が変わってきます。即日で資金調達ができる点はファクタリングの大きなメリットといえます。
投資家からの資金調達
新規事業立ち上げや拡大に際して株主資本を発行し、投資家から資金調達を行う方法がエクイティファイナンスです。
その性質もあり、将来の成長性や株価上昇を期待させる材料が必要で、会社の資金繰り悪化の改善やつなぎ資金の調達などに向いた方法ではありません。
9.第三者割当融資
新株を発行して増資を行い、資金調達をする方法です。第三者に株を売ったお金を運転資金として利用します。新株発行により経営者の持ち株比率が下がる点がネックですが、融資とは違って返済義務もなく、企業価値の向上を期待できる点がメリットです。
10.ベンチャーキャピタル
ベンチャー企業に出資して、その企業が上場したのちに出資金を回収、利益を得るのがベンチャーキャピタルですが、彼らからの投資を受けることで資金調達を行います。
出資を受けるためにはビジネスの成長性や将来性を表すビジョンを示す必要があり、審査が厳しいことや経営の主導権を握られてしまう可能性はあるものの、返済義務のない億を超える投資が見込まれる点や他企業・他事業との連携も期待できる点はかなり大きなメリットです。
11.エンジェル投資
裕福な個人投資家=エンジェル投資家=による出資です。
ベンチャー企業に対して行われることが多くなっており、彼らのコネクションを利用することや、経営に関するアドバイスなど投資以外のサポートも期待できる点が魅力です。ただこちらもベンチャーキャピタルと同様に、エンジェル投資家に経営の主導権を握られる可能性がある点は覚えておく必要があります。
12.クラウドファンディング
事業の発案者がクラウドファンディングサイトを通じて出資を募り、資金を得る資金調達方法です。
サイトを通じて不特定多数の人に支援を呼びかけることができるため、零細企業や個人でアイディアのある人に有効な手段といえます。
目標が達成されたときには手数料の支払いは発生するものの、返済や配当の義務もなく、信用情報や事業状況などの情報もいらないため、誰でも資金調達できるチャンスはあります。
13.助成金
厚生労働省が一定の条件を満たした事業者に対して交付するお金が助成金です。雇用増加、能力開発といった条件があり、助成金を受ける際は申請が必要となります。返済は不要ですが、要件が厳しいことと受給までに時間がかかるため、短期的な資金調達方法としては利用が難しいでしょう。
14.補助金
経済産業省が事業者に対して交付します。設備投資費や新商品開発などのための研究費など、事業を活性化するために補助金として出るお金です。
業種や資本金、従業員数などで条件があり、決算報告書、事業収支予算書などの書類提出も必要です。助成金と同じく審査に時間がかかりますが、審査に通過すれば返済義務の必要がないお金を受給できます。
ここまで【中小・個人向け】事業資金の調達方法14種のメリット・デメリットについて紹介しました。
融資以外にも多くの資金調達方法があり、難易度や資金調達までにかかる時間も異なります。それぞれの特徴を踏まえて最適な資金調達方法を選択してください。