通帳なしでもファクタリングは利用できるか
2023.06.30
はじめに
通常ファクタリングの審査書類に通帳は欠かせません。必要書類としてあげられる理由があり、あらゆる審査の基準に活用されます。
しかし中には通帳がなくても利用できるファクタリングもあります。そこでファクタリングの手続きに通帳が必要なワケとともに、個人通帳がなくても利用できるファクタリングについて紹介します。
ファクタリングの必要書類のひとつ「通帳」
ファクタリングを利用する際には様々な書類が必要となります。例えば、「会社の登記簿謄本」や「販売契約書類」などがあげられますが、一般的にはファクタリングに必要な書類として以下の5つが求められます。
・成因資料(請求書、注文書、納品書)
・取引先との基本契約書
・3ヶ月分の入金が確認できる通帳
・直近の決算資料(法人の場合)
・直近の確定申告書(個人事業主の場合)
・代表の身分証明書
必要に応じて納税証明者や「会社の登記簿謄本」などが求められるケースもあるでしょう。このようにファクタリングを利用するためには「通帳」が大事になってきてしまいます。
売掛金の存在
売掛金の実在性を通帳から確認することができます。
ファクタリング会社や金融機関にとって実在しない売掛金の架空債権を買い取ってしまうと大きな損失を被ってしまいます。また、売掛金の二重譲渡など様々なリスクが貸方には伴います。そのため通帳から「売掛先との取引があるのか?」「過去に売掛金は入金されているのか?」「売掛先の相手は実存」などの実績を確認していきます。
売掛金の信憑性判断
架空債権を買い取らないためには、ファクタリング対象の取引が継続されていることも重要視します。
例えば過去3か月の入出金履歴から売掛先との関係性を把握することで、債権の信憑性は高まります。そのためファクタリング会社や金融機関は架空債権でない裏付けのためにも通帳を確認します。
売掛先の支払い能力
売掛先が支払いを適切に行えているのかを通帳から確認することができます。
例えば、月末支払いの契約で行っていたのにも関わらず、支払いが分割であったり、翌月にまたいでいると売掛先の支払い能力は低いと判断できます。つまり、この債権は実在していたとしても、危険性が高い債権であることが通帳から判断することができます。
通帳がなくてもファクタリングは利用できるか?
ファクタリング利用において通帳は必要書類の中でも重要視されていますが、通帳がなくてもファクタリングが利用できるサービスも存在します。ただし、通常のファクタリングサービスの利用よりも様々なデメリットも抱えてしまいます。デメリットとしてあげられるのは2点「審査基準の難易度」「代替書類の準備」について紐解いていきましょう。
審査通過は難しめ
通帳によって債権の信憑性が確認できないため、ファクタリングの審査が厳しくなってしまいます。そのため通帳が用意できれば簡単な審査であっても、通帳がないことで落ちるケースがよくあります。さらに、通帳がないことを理由にファクタリング審査が長引いてしまうこともあります。通帳がないとファクタリング会社や金融機関がうたう「即日現金化」のサービスも厳しくなります。そのため、審査のクリアという観点では通帳を用意したほうが得策といえます。一方で通帳がなくても審査通過が簡単とされるファクタリング企業は悪徳業者の可能性が非常に高くなります。
通帳に代わる必要書類の準備
金融機関やファクタリング企業は通帳の代わりとなる書類を追加で要求することがあります。
例えば取引内容を証明できる「契約書」や「金銭の受け渡しがわかる書類」などが追加で要求されます。追加の書類を提出することでファクタリングサービスを受ける可能性があがりますが、審査の難易度は変わりません。追加の書類は通帳の代替であり、同等の信憑性を証明してくれません。そのため、追加書類を提出しても審査に落ちることはよくあります。
通帳なしで利用できるファクタリングとは
通帳なしでも利用できるファクタリングはいくつか存在します。
例えば個人事業主やフリーランス用のファクタリングには個人通帳の代わりに「本人確認書類」と「請求書」だけで利用できるファクタリングサービスは有名です。そのサービスとは給与ファクタリングと呼ばれるファクタリングです。
給与ファクタリングとは従業員の給与を給料日より早く現金化する手法のひとつ。企業側は給与支払いをファクタリング業者に委託し、従業員に本来の給与の約80%を獲得することができます。2020年までは通帳なしで利用できるファクタリングとして頻繁に給与ファクタリングがあげられていました。しかし東京地方裁判所が給与ファクタリングを貸金業と認定したため、それ以降は通帳なしで利用できるファクタリングというのは一部のサービスだけに絞られているのが現状です。
給与ファクタリングは通帳の提出を必要とせず、少ない書類のみで契約を結ぶことができます。しかしこういったファクタリングサービスも通常のサービスと比較して、「現金化の上限が低かったり」「現金化のタイミングが遅かったり」といったデメリットが隠れています。
まとめ
さて今回は個人通帳がなくてもファクタリングが利用できるのか?通帳がファクタリング審査にどのように使われるのかについて紹介しました。
特別な事情がない限り、通帳を用意したうえでファクタリングを利用したほうがサービスの質的に最善といえます。