そのファクタリング、違法かも?偽装ファクタリングとは
2021.06.08
はじめに
ファクタリングはしばしば法律問題とセットで取り上げられることが多いサービスですが、その原因は偽装ファクタリング業者の存在です。
ファクタリングと見せかけて売掛債権を担保に掛けさせ、融資を行い法外な手数料をむさぼるという手口で多くの事業者をだましています。
なぜ偽装ファクタリングという違法行為が行われているのか、そして簡単に騙されてしまう人が出るのはなぜなのでしょうか。
こちらでは偽装(似非)ファクタリングの違法性を解説していきます。
ファクタリングとは
ファクタリングは企業や個人事業者が商品やサービスの対価として保有する売掛債権をファクタリング会社が買取り、現金を依頼者に入金するというれっきとした商取引の一つです。日本ではつい最近一般的に認知されるようになってきましたが、欧米では16世紀ごろより導入されている歴史的な資金調達手段です。最近では日本政府も経済産業省主導でファクタリングの導入を広めようと、中小企業の資金調達手段として推奨しています。
ただ、日本ではファクタリングに関する法律が整備されていないため、契約上のトラブルの発生などがしばしば起きており、また法律の抜け道を突いた違法営業を行う業者も散見されるなど、ファクタリングが定着しづらい環境になっている面もあります。
ファクタリング会社のリスク
ファクタリングという取引において欠かせないのがファクタリングサービスを行う業者です。
ファクタリング会社は多くのリスクを抱えて営業を行っています。
・顧客や倒産や貸し倒れを起こす可能性のある相手方の信用リスク
・顧客による詐欺を受けるリスク
・法律やコンプライアンス、税務上のリスク
・契約上のトラブルに対するリスク
・売掛金を回収できなくなるリスク
このほかにもたくさんのリスクを抱えて営業を行っています。
こうしたリスクを回避して正常なサービスを提供するためには、法律関係、金融関連の専門知識が必要不可欠です。
偽装ファクタリングとは
偽装ファクタリングとは、2社間ファクタリングのように見せかけて貸し付けを行う違法行為で、利息制限法をはるかに超えた金利で貸し付けを行う、いわばヤミ金のような行為です。
ファクタリングは貸し付けではなく、債権の買取りです。貸付との契約上の違いは、集金不能になった場合の保全措置の有無です。
偽装ファクタリングでは、その利用会社に対して債権の保全措置を取ります、この場合の保全措置とは担保の設定や支払いの責任を利用者に帰着させる行為です。
ファクタリングの保全措置はなく、また支払いの責任も(償還請求権ありの契約の場合は利用者に責任あり)ありません。
偽装ファクタリングの例
偽装ファクタリングとみなされた事例ですが、
・高額な手数料の設定
・契約書に「売買契約」の記載がない
・集金代行契約で回収できない場合の支払い義務が利用者にある
これらの条件に当てはまる場合、貸付とみなされます。
ファクタリングの取引では、金利を制限する利息制限法や貸金業法が適用されませんので、これらが適用される契約条件は偽装ファクタリングとなります。
過去には債権買い取り代金の一部しか受け取っておらず法的紛争となったケースや、支払いが遅れたために違約金の支払いをさせたなどのケースもあります。これらは利息制限法や貸金業法違反として偽装ファクタリング業者が提訴された事例です。
実は現在でもファクタリングの陰で、高額な手数料の要求や利用者に不利な保証をつけた契約など、悪質な偽装ファクタリングが暗躍しています。
まとめ
ここまで偽装(似非)ファクタリングの違法性について紹介しました。
ファクタリングを利用する際は、業者が偽装ファクタリングに当たる行為を行っていないか確認し、ファクタリング会社選びの段階で怪しい業者を除外しておくと安心です。